ブレーキキャリパーオーバーホールキット“社外品ってどうなの?”

blog

オーバーホールとは?

 クルマをさわってみようとすると必ず出てくる“オーバーホール”という言葉。なんとなく会話の流れで「大変な作業なのだろう」とか「高額修理のようだ」という事はわかるけど、実際どのような事なのでしょう?

 ずばり、オーバーホールとは“完全分解整備”という事です。対象の機械部品を部品1個単位に至るまで完全にバラバラにして状態を検査し、消耗や摩耗している部品を交換。それを正しく組み上げて新品時と同様の性能が発揮できる状態にする事を言います。

ブレーキキャリパーオーバーホールキットとは?

 ブレーキには種類がありますが、ここでは現代の自動車で一般的な片押し式キャリパーについて説明していきます。
 ブレーキキャリパーとは、油圧によってブレーキのピストンを押し出し、ブレーキパッドという摩材をローターという回転する金属の板に押し当てて、さらにその反力で反対側のブレーキパッドを引っ張り、制動力(車体を止めようとするチカラ)を発生させます。

 ブレーキのほとんどの材質は鉄なので、劣化を防いだり動力を伝達する為には油分(オイルやグリース)を使用します。その油分を漏れないように止めたり、隙間を埋めたりしているのがゴム部品になります。当然、ゴム部品は劣化や摩耗をするので、ある程度の年数や走行距離によって交換する必要があります。

 消耗するゴム部品に加えて、再利用不可な金属部品をまとめたものを“ブレーキキャリパーオーバーホールキット”といい、ブレーキのオーバーホール作業には絶対必要な部品となります。

聞いた事のないメーカー?純正ではないオーバーホールキットって大丈夫なの?

 さて、オーバーホールキットというものがわかったら、オーバーホールキットの手配を行います。各車種に対応している品番がありますので、それを自動車ディーラーさんや部品商さん、整備工場さんで調べて手配してもらいましょう。もちろん、ご自身で調べられる場合はご自身で手配するのですが、おそらくネットで調べて手配することと思います。そして、ある問題に引っかかることと思います。

 その問題とは、聞いた事のないメーカーのオーバーホールキットが表示される事です。ブレーキのオーバーホールキットをネットで検索すると、ミヤコ自動車様や制研化学工業様など純正以外のメーカーが表示されると思います。サイトによっては純正のキットより安かったりします。当然、できるだけ安く済ませたいのが人間の心理ですから、安ければそちらの方が良いです。しかし、ここで思われるでしょう。

「この純正じゃない部品って大丈夫なの?」と。

 結論を申し上げますと“基本的に全く問題ありません”

 この純正でない部品はいわゆる“社外品”と言われるもので、実は自動車の修理では古くからこの社外品が広く使用されているのです。どのくらい古くからか?ですが、70年以上、100年近くなる企業もあり、中には純正部品をやっているメーカーも補修用部品で純正とは別製品として出している商品もあったりします。

一般社団法人 日本自動車部品工業会とは?自動車優良部品推奨制度

 先ほど、私は“基本的には”問題無い。と書きましたが、“基本的に”というのは例外があるからです。
昨今、ネット通販が身近になった事もあり海外部品も出回るようになりました。しかし、その中には残念ながら粗悪な材質だったり、中には適合と書かれているのに全く取り付けられない。といったトラブルもあります。

 では、トラブルに巻き込まれないようにするためにはどうしたらよいのでしょうか?
 聞いた事ないメーカー名で信用できる企業なのかを調べる為には、そのままホームページを検索し、どこの国なのか?日本語は通じるのか?などを予め調べてみるのも有力ですが、時間がかかります。何か指針や信用できる企業の一覧があれば、早いですよね?

実はそれもあります。一般社団法人 日本自動車部品工業会という協会があります。

 1969年に発足された自動車部品工業会をより公益性の高い社団法人として発足した業界団体で、自動車メーカーが自社のブランドと流通ルートで供給する補修用部品を「純正部品」というのに対し、部品メーカーが独自ブランドで供給する補修部品で、日本自動車部品協会の「自動車優良部品推奨制度」により推奨されたものやそれらと同等の品質を有するものを優良部品と言っています。
 簡潔に言うと、この会員企業であれば、ある一定の品質を保持しているという事になるのです。加盟企業の中には株式会社アイシン様や株式会社デンソー様などの世界的に有名な企業や純正部品を製造しているメーカーも加盟していたり、前述のミヤコ自動車様や制研化学工業様といった、長きに渡り補修部品専門で製造しているも加盟しています。部品選択の一つの指針として参考にするとよいでしょう。

日本自動車部品協会 JAPA:優良部品

まとめ

 いかがでしたでしょうか?純正以外の部品がある事をご存じなかった方や純正以外を“社外品”とひとくくりにされていた方もいらっしゃると思います。私もそのひとりでした。
 しかし、一般の皆さまにはあまり馴染みはなくても実績のある部品メーカーさんは存在しており、そういったメーカーさんが独自に販売している事も日本は多く、実は純正と変わりない性能の部品も場合によっては安く購入できる場合もあります。そして、品質に実績のあるメーカーさんか否かの判断を判断できる加盟団体もありますので、ひとつの判断基準にしてご自身が安心できる部品を購入しましょう。

 最後に、今回はブレーキキャリパーのオーバーホールキットに焦点を当てましたが、ブレーキは不具合があると大変危険ですので、作業は専門業者に依頼するのをオススメします。しかし、ご自身で行いたい気持ちは私個人としても理解できますし、その気持ちは大事にしてほしいと思います。不具合は許されない作業である事をよく理解したうえで、作業される方を応援したいと思いますので、今回このような記事を書きました。未経験の方は、まず最初は、
①ご自身で行われる場合は経験者の方にご教授頂きながら作業を行う
②整備書に則って作業を行う
のどちらかの環境で行うようにしましょう。

コメント

タイトルとURLをコピーしました